MTGでは新セットが出る度に沢山のカードが登場し、新しいデッキを生み出したり、既存のデッキを強化していきます。
しかし一方で強すぎて禁止されてしまったり、ルール改定で使えなくなってしまったりと、様々な事情で環境から姿を消してしまったカードもまた存在します。
本記事はそういった悲しい理由で消えてしまったカードを紹介していく記事になります。
今回はラヴニカ:ギルドの都で登場した、《狩り立てられた恐怖》を紹介します。
《狩り立てられた恐怖》ってどんなカード?
《狩り立てられた恐怖》はラヴニカ:ギルドの都で登場した「狩り立てられた」クリーチャーサイクルの1枚です。
性能は黒黒の2マナで7/7トランプルという破格のスペック!
しかしこのカードが場に出た時、プロテクション(黒)を持つ緑の3/3ケンタウルストークンを2体相手に与えてしまうというデメリットを持っています。
このデメリットがとても大きく、相手に他にクリーチャーが居れば3体ブロックで《狩り立てられた恐怖》が落ちてしまいますし、《狩り立てられた恐怖》をバウンスされてしまった時には目も当てられません。
トークンを除去すれば良い話ではあるのですが、プロテクション(黒)を持っている為除去が効きづらく、逆にこちらのブロッカーがスルーされて殴り切られてしまう事もあります。
《狩り立てられた恐怖》の運用法、考案される
そんな使いづらい事この上ない《狩り立てられた恐怖》ですが、その2マナ7/7の魅力に惹かれて様々な人が上手く運用できる方法を模索しました。
その内の1つが《不同の力線》と組み合わせる事。
当時のレジェンドルールでは同名の伝説のパーマネントが2つ以上同時に戦場に出た場合、それらを全て墓地に置く為、出てきたトークンを一掃する事ができました。
《不同の力線》が同一ブロックにあった事から、このギミックを用いたデッキ『ハンテッド・レイライン』がブロック構築にて使われました。(この箇所を書いていて、ブロック構築ってありましたよねー、とちょっと懐かしさを感じてしまったり。)
またレガシーでも「狩り立てられたサイクル」と、あるカードを組み合わせたデッキが現れました。
『ハンテッド・ブランド』です。
2007年 レガシー選手権 22位リスト
土地(21)
4《Underground Sea》
4《Volcanic Island》
1《Badlands》
4《禁忌の果樹園/Forbidden Orchard》
2《汚染された三角州/Polluted Delta》
2《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
4《不毛の大地/Wasteland》
クリーチャー(14)
3《金粉のドレイク/Gilded Drake》
3《狩り立てられた幻/Hunted Phantasm》
4《闇の腹心/Dark Confidant》
4《狩り立てられた恐怖/Hunted Horror》
呪文(25)
4《渦まく知識/Brainstorm》
4《もみ消し/Stifle》
4《神秘の教示者/Mystical Tutor》
4《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
2《根絶/Extirpate》
4《刻印/Brand》
1《紅蓮地獄/Pyroclasm》
1《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》
1《火薬樽/Powder Keg》
サイドボード(15)
4《方向転換/Divert》
1《非業の死/Perish》
1《Stench of Evil》
2《紅蓮破/Pyroblast》
2《赤霊破/Red Elemental Blast》
1《破壊放題/Shattering Spree》
2《トーモッドの墓所/Tormod’s Crypt》
2《ファイレクシアの炉/Phyrexian Furnace》
ハンテッド・ブランドでは狩り立てられたサイクルのクリーチャーの誘発型能力を消す《もみ消し》や、トークンを吹き飛ばす《仕組まれた爆薬》といったカードが積まれています。
そしてこのデッキの最大のキーカードが《刻印》。
効果はあなたがオーナーであるすべてのパーマネントのコントロールを得るというもので、本来はコントロール奪取呪文で奪われたカードを取り戻す為に使われます。(ただ、あまりに範囲が狭すぎるせいか、このカードが採用されたという話は聞いた事がありません…)
しかしこの当時は呪文や能力で戦場に出たトークンはその呪文・能力のコントローラーがオーナーというルールであり、《狩り立てられた恐怖》や《狩り立てられた幻》で出したトークンをまとめて奪う事ができました。
その為《刻印》と《狩り立てられた恐怖》があれば、何と3マナで13点分のクロックを並べる事が可能に。
更に《禁忌の果樹園》からマナを出していたらその際に出たスピリットトークンも一緒に奪えます。
このコンボは「狩り立てられたサイクル」のカードのデメリットを無くすどころか必殺技に昇華できるため、ローグでこそありますが当時気を付けなければいけないデッキの1つとなりました。
悲しみのルール改定
基本セット2010 発売時
この様な経緯で相棒が見つかった《狩り立てられた恐怖》でしたが、このカードは禁止制定とは別の方向で悲しみを背負う事になります。
基本セット2010の発売時、マナ・バーンの廃止や戦闘ダメージをスタックに乗せる事の廃止等様々なルール改定がありましたが、その中の1つに以下の改定がありました。
『トークンのオーナーは、それが戦場に出る段階でそれをコントロールしていたプレイヤーとなる。』
このルール改定により、《狩り立てられた恐怖》や《禁忌の果樹園》等で出されたトークンのオーナーは相手となり、《刻印》でコントロールを奪う事ができなくなってしまいました。
一応《不同の力線》に置き換えて『ハンテッド・レイライン』として存続する事は可能でしたが、《刻印》と比較してトークンを奪えない為、かなりのパワーダウンに。
また、「《刻印》無しで《もみ消し》で誘発型能力を打ち消す運用なら、《ファイレクシアン・ドレッドノート》に使った方が良いよね?」という事もあり、《狩り立てられた恐怖》はどんどんとスタイフルノートの影に隠れるようになってしまいました。
基本セット2014 発売時
この様にルール改定で大ダメージを被った《狩り立てられた恐怖》でしたが、悲しみはそれだけでは終わりません。
上記ルール改定後でもモダンやレガシー等の環境で『ハンテッド・レイライン』を使われる方がおりましたが、基本セット2014の発売時にまたルールが改定されます。

このルール改定により、レジェンド・ルールに関して現行ルールである
『同名の伝説のパーマネントが2つ以上同時に戦場に出た場合、そのプレイヤーはその中から1つを選び、残りはそのオーナーの墓地に置かれる。』
となりました。
これにより《不同の力線》がある場で《狩り立てられた恐怖》を出す事ができてもケンタウルストークンが1体残る事に。
ここまで手間暇をかけてもトークンが残ってしまうとなると、《不同の力線》の単独での使いづらさも相まって、割りに合わない(というか地味な)コンボとなってしまい、次第にハンテッド・レイラインも姿を消していきました…
以上、《狩り立てられた恐怖》の紹介でした。
ルール改定で使い勝手が悪くなるカードは数あれど、ルール改定でこのカード以上に悲しみを背負ったカードは無いと思っています。また新しい相方が出てくれると嬉しいですね…
この記事をお読み頂き、ありがとうございました。
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